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税務相談Q&Aテキスト版

2020年03月号

▼テーマ
 配偶者居住権の税の取扱いについて

▼本文
民法の改正に伴い、令和2年4月より配偶者居住権が新しく創設されます。今回は配偶者居住権の相続税及び贈与税について説明します。

配偶者居住権とは?
 配偶者が居住していた被相続人所有の建物について、残された配偶者が遺産分割等により、一定期間または終身で住み続けることができる権利です。
 相続が発生し居住不動産を相続する場合、現在は所有権という権利しかありません。令和2年4月1日以後に開始する相続からは、「所有権」と「配偶者居住権」に分けて相続することができるようになります。
 ただし、配偶者居住権を設定する場合は、一定の手続きと登記が必要となります。なお、この権利は配偶者居住権を相続した配偶者が死亡したときに消滅します。

相続税はどうなるのか?
 「配偶者居住権」を設定した場合、相続税の評価についても権利設定と同様に「所有権」と「配偶者居住権」とに分けて評価します。
例えば、配偶者と子がそれぞれ取得したケースでは次のような関係となります。
 居住不動産の評価額(従来の所有権)=配偶者居住権(配偶者の相続分)+所有権(子の相続分)
 従来の所有権を「配偶者居住権」と「所有権」に分けただけなので、不動産全体の評価額は変わりません。
 配偶者は取得した「配偶者居住権」については配偶者の税額軽減が受けられます。「所有権」を取得した子は配偶者居住権の分だけ評価額が下がりますので、相続税の総額も下がる可能性があります。なお、配偶者の死亡により配偶者居住権は消滅しますが、それにより所有者である子に相続税が課税されることはありません。

贈与税が課税されるケースも
 前項で説明したとおり、配偶者の死亡により配偶者居住権は消滅します。しかし、次の場合は配偶者から所有者に贈与があったものとみなされ、贈与税が課税される可能性があるので注意が必要です。
当初設定した存続期間の満了前に配偶者居住権を放棄した場合
所有者との合意により消滅させたときに、所有者が消滅直前の配偶者居住権の価額に相当する額の対価を支払わなかった場合

2020年01月号

▼テーマ
 災害により住宅や家財などに損害を受けた場合

▼本文
10月の台風19号をはじめ、昨年は自然災害によって全国で多くの被害が発生しました。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。所得税では被災された方に配慮し、負担の軽減を図る制度が設けられています。今回はその中で住宅や家財に損害を受けた場合の制度を見ていきます。

一、雑損控除
 次のAとBのいずれか多い金額を所得金額から控除することができる制度です。
A 住宅等の損失額から所得金額の10分の1を控除した金額
B 災害関連支出の金額(災害に関連してやむをえず支出した費用の額)から5万円を控除した金額
 住宅等の損失額は、次のように計算します。
住宅や家財の取得価額から、使用年数による価値の減少分を控除した金額に、被害の程度に応じて定められた割合
(例 二階建て建物 床上1m以上1.5m未満・24時間未満の浸水で35%など)を掛けて計算します。
②①の金額に災害関連支出の金額を加算し、保険金などにより補てんされる金額がある場合にはその金額を控除して求めます。
なお別荘や貴金属・書画・骨董などで1個の価額が30万円超のものについて受けた損失は対象外ですのでご注意ください。

二、所得税の免除・軽減
 災害による損失額が、住宅や家財の価額の2分の1以上となる場合には、その年の所得の金額に応じて、所得税額の全額免除または2分の1もしくは4分の1の軽減を受けることができます。ただし雑損控除と重複して適用を受けることはできません。試算して、どちらか有利な方を選択して適用を受けることになります。
 一や二の制度の適用を受ける際には、市町村が発行するり災証明書の写しなど準備いただく書類があります。
手続きをご検討されている方は事前にご確認ください。

三、住宅借入金等控除の特例
 住宅借入金等特別控除はその住宅に継続して居住することが要件ですが、災害被害により住宅として使う事ができなくなった場合には、残りの年分についても年末調整や確定申告にて特別控除の適用を受けることができます。

2019年11月号

▼テーマ
 消費税ポイントカード還元制度

▼本文
消費税率10%がスタートしました。 消費者に最大5%が還元されるポイント還元制度を紹介します。

  1. キャッシュレス・消費者還元事業
    消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)にて代金を支払った場合には、購入額の最大5%のポイントが付与される制度です。

  2. 実施期間、対象店舗
    実施期間は、令和元年10月1日から令和2年6月30日までの9ヶ月間です。還元対象金額は決済額に応じた金額が還元されることになります。
    中小企業または個人事業主が運営する店舗の場合は5%が還元されます。
    また、コンビニやガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンの場合は2%が還元されます。
    ポイント還元対象の店舗は、経済産業省からポスターが配布され店頭に掲示されます。また、ウェブサイトでも確認できます。

  3. キャッシュレス決済
    お札や小銭などの現金を使用せずに代金を支払うことです。キャッシュレス決済手段には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)やスマートフォン決済などがあります。
    ①クレジットカードは、商品やサービスを受け取った後から支払いの請求が来る後払いのカードのことです。
    ②デビットカードは、商品やサービスの購入時に提示すると代金が銀行口座から即時に引き落とされるカードのことです。
    ③電子マネー、プリペイドカードは、カードやスマートフォンに前もって入金しておき、店の機械にタッチして支払います。
    ④スマートフォン決済(QRコード読み取りなど)は、スマートフォンに、クレジットカード、電子マネー、銀行口座などを登録して支払います。
    ※1か月のポイント還元の上限はサービス会社により異なります。

2019年09月号

▼テーマ
 家族信託における税金のはなし

▼本文
最近、テレビ等のマスコミで家族信託が取り上げられています。将来的な認知症対策としても注目を浴びつつあります。そこで気になってくるのが税金のことです。家族信託の概要と関係してくる税金を確認してみましょう。

一、家族信託とは?
自分が持っている不動産やお金などを信用できる人に託します。
託された人はその財産を管理して、場合によっては、売却や賃貸なども可能です。
託した財産から生まれる利益は自分が望む人が受けます。
 の人を委託者、の人を受託者、の人を受益者と言います。従って、委託者が認知症になったとしても、事前に財産を信託しておけば、受託者の判断でその財産の処分ができます。

二、家族信託と税金
父親から長男へアパートが信託されたケースで見てみましょう。それぞれの税金は次のような取り扱いになります。
○贈与税
 アパートが信託されると建物の名義は父親から長男へ移ることになります。しかし、税務上は名義ではなく受益権を持っている人を所有者とみなします。従って、父親が依然として受益者であれば信託を設定しても贈与税はかかりません。
○所得税
・家賃収入
 アパートの名義が長男へ移るため、賃貸借契約も長男と賃借人に変更になります。ただし、あくまでも父親が受益者であれば従前どおり、父親で不動産所得の申告を行います。
・建物売却収入
 売買契約についても長男が買主と結ぶことになりますが、家賃収入と同様、父親が受益者であれば父親で譲渡所得の申告を行います。
○固定資産税
 固定資産税は、アパートの名義人である長男に課税されます。これは不動産所得の必要経費になりますので、受益者である父親が負担して問題ありません。

三、その他の注意点
他の税金については、不動産所得税や登録免許税などが関係してきます。また、民法上、他の相続人との遺留分の問題なども絡んできますので、事前に専門家に相談されることをお勧めします。

2019年7月号

▼テーマ
 住宅ローン控除の拡充(2019年度税制改正)

▼本文
令和元年(2019年)10月1日の消費税率の引き上げに際し、需要変動の平準化の観点から、住宅に関する税制上の支援策が講じられます。

改正点
消費税が引き上げられる令和元年(2019年)10月1日から令和2年(2020年)12月31日までの間に居住の用に供した場合、次のように適用されます。

一、消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長(改正前:10年→改正後:13年)
二、11年目以降の3年間については、消費税2%引き上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定。
  具体的には、各年において、次のいずれか少ない金額を税額控除します。

① 建物購入価格の2%の1/3
② 住宅ローン年末残高の1%

今回の改正は、3年間で消費税増税分にあたる「建物購入価格の2%(2/3%×3年)」の範囲で減税されます。
ただし、ローン残高が少ない場合はこれまでどおり住宅ローン年末残高に応じて減税されます。
消費税10%の増税時には、5%から8%に増税された時と同様に建物取得に係る消費税の経過措置の適用もあるため、十分に検討してから住宅を購入することが必要になろうかと思われます。

2019年5月号

▼テーマ
 ふるさと納税の所得税及び住民税の控除について

▼本文
ふるさと納税制度は、自らの意思で納付先(寄附先)を選択する制度です。生まれ育った故郷や、お世話になった地域、独自の取組みなどをしている地方自治体を応援してもらうために導入されました。寄附は都道府県、市区町村であれば全国どこの自治体にでも行うことができます。

自己負担額2千円で所得税及び住民税が一定限度額まで軽減される
支出した寄附金のうち2千円を超える部分について、確定申告をされる方は、所得控除のうちの寄附金控除(総所得金額等の40%相当額が限度)を受けることにより所得税が軽減されます。そして所得税で控除しきれない部分は、翌年度の住民税から控除されます。なお、住民税からの控除には基本分(総所得金額等の30%相当額が限度)と特例分があり、基本分の限度額を超える部分は特例分(住民税所得割額の20%相当額が限度)で控除されることになります。

ワンストップ特例制度により確定申告が不要
確定申告をする必要のない人で、寄附をした自治体が5箇所以内の場合は、確定申告をせずに税金の軽減を受けられます。(ワンストップ特例)
この制度を選択すると確定申告をしないので、所得税から控除は行われず、翌年度の住民税のみが減額されることになります。
ただし、6箇所以上の自治体に寄附した場合は、申請しても適用されません。

令和元年6月1日以降からの寄附
 この度、過度な返礼品競争を規制するため、制度の見直しが行われました。令和元年6月1日以降の寄附から返礼品を「寄附額の3割以下の地場産品」に限定し、寄附金募集について適正な実施が求められることになりました。こうした条件に該当しない自治体への寄附金については、税制上の優遇が受けられなくなります。