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税務相談Q&Aテキスト版

2021年08月号

▼テーマ
金地金、古銭・記念硬貨、切手などを売ったときの税金

▼本文
ここ数年、金の価格は上昇していることから、お手持ちの金を売却して利益を得る方も多いと思います。また、コロナ禍の中、巣ごもりで家の中を片付けているときに、古銭や旧札、切手などが出てきた場合、これらのものを買取業者へ売却したら税金はどうのように取り扱われるのでしょうか。

1.金地金の場合
 給与所得者や年金受給者などが金地金を売却した場合は譲渡所得として課税され、給与や年金など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。
譲渡所得の計算方法は次のとおりです。

①所有期間5年以内の場合
 売却価額―(取得価額+売却費用)―特別控除50万円=課税される所得

②所有期間5年超の場合
 (売却価額―(取得価額+売却費用)―特別控除50万円)×二分の一=課税される所得

※取得価額が分からない場合は、売却価額の5%が取得価額となります。

以上のとおり、年間の譲渡益が50万円までは特別控除の範囲内なので税金はかからないことになります。
金地金以外の総合課税の譲渡益がある場合は、それを合計した額に対しての50万円です。

2.古銭・記念硬貨の場合
 生活用動産に含まれるため、基本的には課税されません。ただしプレミア価格がついたものなどを高値で売却したときは価値のある財を売却したとみなされます。1個又は1組の価額が30万円を超える譲渡の場合は課税の対象となります。
従って、30万円以下の譲渡であれば課税はされません。
課税される場合の計算方法は、前述の①、②と同様になります。

3.切手の場合
 古銭・記念硬貨と同じ取り扱いになります。
 古銭・記念硬貨や切手の場合は、1点が30万円を超えるものに限られます。そして、50万円の特別控除の枠があるので、ほとんどが課税の対象外になるかと思います。また、その他にも貴金属や宝石、書画、骨董なども古銭・記念硬貨、切手と同様の
取り扱いになります。

2021年05月号

▼テーマ
土地・家屋の評価と税金について

▼本文
土地や家屋を所有している方には、4月中旬に固定資産税の課税通知書が届いていることと思います。固定資産税はその年の1月1日現在の所有者等に課税されます。
また相続や贈与等により土地や家屋を取得した場合には相続税や贈与税がかかる可能性があります。今回は、土地・家屋の評価や税金について説明します。

1 固定資産税の計算方法

①固定資産税
 固定資産税の計算方法は次のとおりとなっています。
「固定資産税課税標準額×1.4%=固定資産税」(長岡市の税率)

②都市計画税
 土地や家屋が市街化区域内にある場合には、次の計算方法により都市計画税がさらに課税されます。
「固定資産税課税標準額×0.2%=都市計画税」(長岡市の税率)

③土地の課税標準額
 土地の課税標準額については、商業地等(住宅用地以外)は調整措置により「固定資産税評価額」の通常7割となっています。

④住宅用地
 住宅用地については、面積が200㎡までの部分が固定資産税評価額の6分の1,200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます。
また、都市計画税については200㎡までの部分が3分の1,200㎡を超える部分が3分の2に減額されます。
 また新築住宅である場合には家屋の評価が減額される特例もあります。

2 固定資産税評価額
 固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて次のように評価されます。

①土地の評価額
 公示価格(一般の土地取引価格の指標)のおおよそ7割となっています。

②家屋の評価額
 「再建築価格×経年減点補正率=家屋の評価額」
 ただし、経年減点補正率には下限が定められており、耐用年数を経過した家屋でも2割は残価が残ります。
 また固定資産税評価額は、不動産取得税や登録免許税の課税標準となっており、評価額が税額に影響します

3 路線価は公示価格のおおよそ8割
 前項で説明したとおり、固定資産税評価額は公示価格のおおよそ7割となっています。相続税や贈与税で土地を評価するときに用いる路線価は、公示価格のおおよそ8割となっています。実際の相続税評価額は、土地の形状等により補正するので異なりますが、路線価から対象となる土地のおおよその取引価格を割り出すことができます。
 なお路線価は国税庁のHPで確認することができます。

2021年03月号

▼テーマ
ひとり親控除及び寡婦控除

▼本文
社会情勢の変化や生活環境の多様化に合わせ、税制も改正がなされていきます。令和2年度税制改正では「ひとり親控除」の創設及び「寡婦(夫)控除」の見直しがなされました。今回はその内容について説明したいと思います。

1 旧寡婦(夫)控除の概要
 そもそも「寡婦(夫)控除」とは、配偶者と離婚や死別をした方が受けられる所得控除でした。但しその適用には、残された配偶者が男性か女性かによって適用条件や控除額に違いがありました。そして一度は婚姻関係を持った人を前提に作られた制度であったため、過去に婚姻のない未婚のひとり親の方には適用出来ませんでした。

2 ひとり親控除
 そこで令和2年度改正により、次の条件を全て満たす方に対し、「寡婦(夫)控除」に替えて「ひとり親控除」として35万円を控除する事となりました。
①現に婚姻をしていない方であること。
②生計を一にする子供(所得が48万円以下)がいること。
③本人の所得が500万円以下であること。
④事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいないこと。

「現に婚姻をしていない方」という規定に変わったことにより、過去の婚姻歴は関係なくなり、未婚のひとり親の方も対象に加わります。
そして、今まで離婚や死別で寡婦控除を受けていた子供がいる方は、男女の区別なく「ひとり親控除」の対象に変更となります。

3 寡婦控除
 旧寡婦控除で控除対象だった、生計を一にする子供のいない女性には、寡婦控除の制度を残し、次のいずれかの条件を満たす場合に27万円の控除が出来る事としました。
①夫と死別した、所得が500万円以下の現在婚姻していない女性。
②夫と離婚して子供以外の扶養親族がいる、所得が500万円以下の現在婚姻していない女性。

 なお、この改正で、どちらの控除も本人の所得は500万円以下(給与年収678万円以下)に統一されています。
 事実婚の状態にある方については対象外となりますのでご注意ください。

2021年01月号

▼テーマ
つみたてNISAのメリット・デメリット

▼本文
老後の生活費を主に担うのは公的年金ですが、ゆとりある老後への備えとして貯蓄や投資など個人で資産形成をされている方も多いかと思います。今回は個人で資産形成をする手段の一つとして、つみたてNISAを紹介致します。

1 制度の概要
 つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。証券会社などに専用口座を開設し、対象となっている投資信託(株や債券などを「日本株式」「バランス型」などのテーマによりパッケージにした商品)の中から自分に合ったものを選びます。そして毎日・毎週・毎月など自分で決めたペースで積み立てていきます。
 口座は国内にお住いで口座開設をする年の1月1日現在20歳以上の方であれば開設することができます。少額から始められる点、自動積立なので取引のわずらわしさがない点など、投資初心者でも利用しやすい仕組みになっています。基本的には長期の運用のための制度ですが、積み立てた商品はいつでも売却することができます。

2 非課税投資枠
 つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として最長20年間積立が可能です。なお、新規の積立を行うことができる期限が令和2年度税制改正で令和24年12月31日まで延長されました。
 非課税となる期間は積立から20年間で、その間に得た分配金や売却益については通常であれば20%強の税金が課税されますが、つみたてNISAでは非課税となります。非課税期間が終了した時点で売却せずに残った投資信託は、特定口座などの課税口座に移されます。

3 注意すべき点
①つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択します。(両方は不可)
②非課税期間が終了した時点で課税口座に移されると、その時の時価が取得価格となります。実際の取得価格より移管時点での時価が下がっていると、後日売却した時に売却額から控除できる取得価格が実際の取得価格よりも小さくなるので、税負担が発生する可能性があります。
③つみたてNISAで発生した損失と特定口座などの課税口座で発生した利益は相殺(損益通算)できません。

2020年11月号

▼テーマ
 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

▼本文
少子高齢化による人口の減少や、中古物件の活用が少なくなり、空き家の増加傾向がみられるようになりました。
休眠状態となった土地や建物の流通を増やすことで、新たに土地建物を欲している人に積極的に活用してもらい、地域の活性化や治安の向上を図るための、譲渡所得の特別控除の制度が創設されました。

制度の概要
個人が、令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間において、一定の低未利用土地等を500万円以下で売った場合、譲渡所得の金額から最高100万円まで控除することができます。

適用の要件
(1)売った土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地または低未利用土地の上に存する権利であること
 ①未利用地の例
  空き地、空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地、管理を放棄された森林など。 
 ②低利用地の例
  一時的に利用されている資材置場、青空駐車場(車両を覆う構造物がない)など。
(2)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
(3)土地の上にある建物等を含めた譲渡価額が、500万円以下であること。
(4)売った後に、その低未利用土地等の利用がされること。
(5)譲渡する年の1月1日において所有期間が5年間を超えること。
(6)適用を受けようとする低未利用土地等と一筆の土地から分筆された土地等について、その前年または前々年において、この特例の適用を受けていないこと。
(7)売った土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買換えた場合の課税の繰延べなど、他の譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。

特例を受けるための手続と書類
 この特例を受ける旨記載した確定申告書(次の書類を添付)を提出することが必要です。    
 ①譲渡所得の内訳書
 ②売った土地等の所在地の市区町村長が発行する「低未利用土地等確認書」
 ③売買契約書の写し等

2020年9月号

▼テーマ
 新型コロナ関連における助成金等の課税関係

▼本文
新型コロナウィルス感染症の影響により、様々な助成金、補助金が国や地方公共団体から支給されることになりました。一般的に法人、個人の所得には税金が課税されますが、各種の助成金等の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。主な助成金等について確認してみましょう。

1.非課税扱いになるもの
・「特別定額給付金」
 外出自粛で感染拡大防止に協力している国民全員に対し、家計支援の一つとして給付されるお金です。1人当たり10万円が支給されます。
この特別定額給付金は、非課税所得とされています。

2.課税扱いになるもの
・「持続化給付金」
 感染拡大防止対策により売上の減少などの影響を受けた事業主等に対し、交付される給付金です。中小法人は最大200百万円、個人事業主、フリーランスは最大100万円がそれぞれ支給されます。事業所得、雑所得等の雑収入として課税対象になります。
・「雇用調整助成金」
 コロナ禍の影響を受けても、従業員に休業手当を支払うなど雇用維持に努めている事業主に対し、交付される助成金です。事業規模や雇用維持の状況によって異なりますが、中小事業者に対しては休業手当支払額の8割ないし10割が支給されます。事業所得等として課税対象になります。
・「経営継続補助金」
 農林漁業者が感染拡大防止対策を行い、販路回復、開拓や事業継続、転換のための機械設備の導入や人手不足解消の取組を総合的に支援するために交付される補助金です。取組により補助率が異なりますが、最大で100万円が支給されます。事業所得等として課税対象になります。
・「長岡市事業継続緊急支援金」※受付終了
 感染症の影響による売上減少を背景に、中小企業の経営を圧迫する賃借料など固定費の負担を軽減させるために給付される支援金です。家賃相当額として最大30万円、固定資産税相当額として最大10万円のいずれかが支給されます。事業所得等として課税対象になります。

3.今後の注意点
 今後、新たな支援制度の創設や非課税枠の拡大などの対策が講じられる可能性もあり、最新情報の把握が大事になります。